岡安製作所で新しい冶具(ジグ)導入とフレーム本溶接の様子
TUBAGRAの国内生産のフレームをすべて手がけてくれている岡安製作所で、この度フレーム制作で使用する冶具(ジグ:フレームをジオメトリに合わせて固定する基盤)がリニューアルされました。
冶具がリニューアルされて何が変わったかと言うと、今までの冶具ではBBのシェル幅が68mm固定でしたが、何と68mmから100mmまで対応することとなったのです。
そのことを分かりやすく例えるならば、岡安製作所でもBB幅が極端に広いファットバイクのフレームも作れるようになった、ということでしょうか。
BBシェル幅は従来68mmがメインで、昔はそれが当たり前とされていたため、ほとんどのビルダーが使用する冶具は68mm固定が未だに主流だったりします。それが昨今の色々なBB規格の乱立と、それに伴うBBのワイド化から、最新の規格を採用するフレームを作るにあたり新しい冶具の導入が急務でした。
ただし、それを実現するには、まとまった初期投資が必要だったり、今まで使い慣れた道具の根本(BB部分は冶具の根本とも言えます)が変わってしまう不安、という点からおいそれと誰でもできる訳ではありませんでした。
そんな状況でしたが、今回は岡安さんが頑張ったくださり、晴れて新しい冶具のど導入となったのです。岡安さん、本当にありがとうございました!
このことで得られるメリットとしては、次に制作するTUBAGRAの27.5インチホイール専用フレーム croMOZU275のシェル幅が68mmから83mmとなり、クランク幅をあわせるための余分なスペーサーが一切必要なくなり、組み上げがかなり容易になったことが挙げられます。
もうすぐBBシェル幅が83mmの新生croMOZU275が誕生するので、とにかく楽しみで仕方がありません!
岡安製作所では、現在、TUBAGRAのストリートフレームであるSHAKA26が作られています。
最近TUBAGRAのWebサイトをチェックし始めた人は、国内生産のTUBAGRAフレームがどのように作られているかご存知ない方が多いかと思いますので、今回は岡安さんがフレームの本溶接をする様子をご覧ください。
国内では少数派のTIG溶接を駆使してフレームを仕上げていきます。
TIG溶接のメリットとしては、ロウ付け溶接と比較して高熱の範囲が局所的でパイプの変性が少なく(高熱になったパイプの箇所は変性して強度が下がる)、パイプの強度をギリギリまで引き出すことができます。つまりアクション系の用途にとても向いているんですね。
BB周辺を溶接すると、その中にある油分が焼けて蒸発し煙となって出てきます。
溶接で使用するトーチ。この先の針の部分が届かない箇所は溶接できないので、トーチの届かない奥まった狭い部分がないようにフレームはデザインされています。
足踏みペダルで溶接電流の強弱を調節。
最近買い替えたという溶接機。過去の物と比較してサイズが1/4程に小型化しています。
溶接を待つガゼッドやBBのブリッジ、チェーンステーのブリッジ。
このように国内生産のTUBAGRAのフレームは溶接されています。
岡安製作所の岡安さんの溶接技術は非常に高く、美しいと業界内でも言われています。さらにアクション系に特化したTUBAGRAのフレームを15年以上、大量に作り続けてきているので経験や知識も豊富で、パイプの特性を引き出して壊れづらく仕上げる技術も国内随一。事実、国内のビルダーたちから指南の要請を受けることも多数ありました。
そんな芸術的な仕上げのフレームを、アクション系に使ってしまうという贅沢さ。
岡安製作所で作られたフレームで、現在、即納できるのはTUBAGRAのライダーで、トライアル国内チャンピオン尾又太一君シグネチャーの24インチストリートトライアルフレームであるTONE。
そして先日お伝えしたshinMOZUの2種類となります。
興味のある方はお問い合わせよりご連絡ください。